LIXILのレンジフードASRの掃除について解説|重曹NGな理由とファンの外し方

キッチンでLIXILのレンジフードASRを掃除する日本人女性。手袋を着用し、新聞紙で養生された作業台で中性洗剤とスポンジを使って拭き掃除をしている。 家事の時短
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キッチンの顔とも言えるLIXILのスタイリッシュなレンジフード「ASRシリーズ」。

日頃のお料理で活躍してくれる頼もしい存在ですが、いざ掃除をしようとすると「この洗剤を使っても大丈夫?」「ファンがどうしても外れない」といった疑問やトラブルに直面するかもしれません。

実は、ASRシリーズは従来の換気扇とは異なり、デリケートな特殊コーティングが施されているため、自己流の掃除方法では寿命を縮めてしまうリスクがあるのです。私自身、良かれと思って使った洗剤でヒヤッとした経験があります。

この記事では、LIXILのASRシリーズを長く美しく保つための「正しい掃除手順」や、多くの人がつまずく「ファンの外し方・固着対策」について、私の経験とリサーチに基づいた情報を徹底的に解説します。

  • ASRシリーズで重曹やセスキを使うと塗装が剥げる化学的な理由
  • シロッコファンの3つのタイプ別取り外し手順と固着した時の裏技
  • 油汚れをスルッと落とすための中性洗剤とお湯の活用テクニック
  • お手入れランプの意味とリセット方法、便利アイテムの活用術

LIXILのレンジフードASRの掃除|推奨される手順

LIXILのASRシリーズは、お手入れのしやすさが考え抜かれた設計になっていますが、その性能を維持するためには「やってはいけないこと」と「やるべきこと」を正しく理解する必要があります。

まずは、洗剤選びという最も重要なステップから、各パーツの具体的な洗い方までを詳しく見ていきましょう。

重曹はNG?中性洗剤を使うべき理由

LIXILレンジフードの黒い表面に、水滴、油汚れ、そして塗装が剥がれて錆が見えている箇所がある。手袋をした指がその剥がれた部分を指している。

インターネットやSNSの掃除術を見ると、「換気扇の油汚れには重曹やセスキ炭酸ソーダが最強!」という情報をよく目にしますよね。アルカリ性の成分が酸性の油汚れを中和して分解するため、確かに洗浄力は強力です。

しかし、声を大にしてお伝えしたいのは、LIXILのASRシリーズにおいては、重曹やセスキの使用は絶対に避けるべきだということです。

なぜなら、ASRシリーズの主要パーツには、汚れを落ちやすくするための高度な「機能性コーティング」が施されているからです。

ASRのコーティングとアルカリ性の相性

親水性塗装(整流板など)
水となじんで油を浮き上がらせる塗装です。研磨剤入りの重曹や強アルカリ性の洗剤を使うと、この塗膜が削れたり化学的に劣化したりして、機能が失われてしまいます。

フッ素塗装(ファン、オイルトレーなど)
フライパンのようにつるつると油を弾く塗装です。アルカリ性洗剤はフッ素被膜を攻撃し、剥がれや変色の原因となります。

一度コーティングが剥がれてしまうと、そこから錆が発生したり、以前よりも油汚れがこびりつきやすくなったりと、取り返しのつかないことになります。

そのため、メーカーであるLIXILは取扱説明書において「台所用中性洗剤」の使用を強く推奨しています。中性洗剤は洗浄力が弱いと思われがちですが、「40℃〜50℃のぬるま湯」と組み合わせることで油が熱で緩み、驚くほどきれいに汚れを落とすことができます。

大切な機器を守るためにも、必ず中性洗剤を使用しましょう。

整流板の正しい外し方と拭き掃除

キッチンでLIXILレンジフードの整流板を慎重に取り外している日本人女性。手袋を着用し、新聞紙で養生された作業台で作業中。

掃除の第一歩は、レンジフードの吸い込み口を覆っている大きな板、「整流板(せいりゅうばん)」の取り外しから始まります。ここは調理中の油煙が最初にぶつかる場所なので、最も汚れが溜まりやすい部分です。

「取り付けたまま拭けばいいのでは?」と思うかもしれませんが、それはおすすめできません。

上を向いての作業は洗剤が垂れて目に入る危険がありますし、裏側の溝に溜まった油を見落としてしまうからです。

安全な取り外し手順

  1. コンロやIHヒーターの上に、新聞紙やビニールシートを敷いて養生します(万が一の落下や油垂れから守るため)。
  2. 整流板を支えながら、固定している左右のラッチ(留め具)を解除します。
  3. 必ず両手でしっかりと支えて、手前に引くようにしてフックから外します。

整流板は金属製で重量があり、さらに油でヌルヌルしていると非常に滑りやすいです。片手で作業すると落下させてしまい、キッチンの天板を割ってしまう可能性もあります。慎重に扱いましょう。

取り外した後は、シンクや広い場所に置いて洗います。ここでのポイントは、「柔らかいスポンジや布」を使うことです。先ほど触れた「親水性塗装」を守るため、研磨粒子入りのスポンジ(硬い裏面)やメラミンスポンジは厳禁です。

中性洗剤を含ませた柔らかい布で優しく拭き取り、最後に洗剤成分が残らないよう水拭きと乾拭きを徹底すれば完了です。

金属フィルターのつけ置きと洗い方

LIXILレンジフードの下で掃除をする日本人女性。手前ではゴミ袋に入れた金属フィルターをお湯と洗剤でつけ置き洗いしており、奥では温風ドライヤーで油汚れを溶かしている。

整流板の奥には、油煙から油分を濾し取るための金属フィルター(スロットフィルターなど)がセットされています。網目状やスリット状になっているため、スポンジで表面を擦るだけでは隙間の汚れが落ちにくいのが難点です。

そこで効果を発揮するのが、プロも実践する「つけ置き洗い」です。以下の手順で行うと、力を入れずにスッキリ落とせます。

ゴミ袋を使った簡単つけ置き術

  1. シンクを汚さないよう、大きめのゴミ袋を二重にしてシンク内に広げます。
  2. 給湯器の温度設定を上げ、45℃〜50℃程度のお湯を溜めます(火傷に注意してください)。
  3. お湯に対して適量の「台所用中性洗剤」を溶かし入れます。
  4. フィルターを沈め、口を軽く縛ってお湯が冷めないようにして30分〜1時間ほど放置します。
  5. 時間が経つと油が白く浮き上がってくるので、柔らかいブラシやスポンジで優しく撫でるように洗い流します。

ここで使うブラシも、歯ブラシなどの柔らかいものを選んでください。金属製のタワシなどで擦ると、塗装が剥げて錆の原因になります。

また、フィルターのエッジ(端の部分)は非常に鋭利な場合があるので、洗う際は指を切らないよう十分に注意してください。

シロッコファンの種類別外し方

シロッコファンの種類別外し方

レンジフード掃除の最難関とも言えるのが、内部にある円筒形の「シロッコファン」の取り外しです。LIXILのASRシリーズは、製造された年代やモデルによってファンの固定方法が異なります。無理に外そうとすると破損の原因になるため、まずはご自宅のファンがどのタイプかを見極めましょう。

タイプ 特徴と見分け方 取り外しの手順
ワンタッチ着脱機構 ファンの中心に「押しボタン」があるタイプ。近年のモデルに多い。 ボタンを指で深く押し込みながら、ファン全体を真下に引き抜きます。ボタンを押すことでロックが解除される仕組みです。
ツマミタイプ(上向き) 中心軸を「大きなネジ(ツマミ)」で固定しているタイプ。 ファンが空回りしないよう片手でしっかり押さえ、もう片方の手でツマミを回します。通常は「ゆるむ」の方向に回せば外れます。
ツマミタイプ(横向き) ファンの軸が水平方向になっているタイプ。 まず手前の「ベルマウス(風を導くリング状の部品)」を外し、その後で中心の固定ネジを回してファンを引き抜きます。

ファンの取り扱いは「卵」のように

シロッコファンは一見頑丈そうに見えますが、実は非常に精密なバランスで回転しています。取り外した際に床に落としたり、汚れを落とそうとして羽を強く握って歪めてしまったりすると、回転バランスが崩れてしまいます。

バランスが崩れたファンを再装着して運転すると、「ブォー」という異常な振動や騒音が発生する原因になります。これは修理や交換が必要になるケースが多いため、ファンを洗う際は「つけ置き」をメインにして、物理的な力をあまり加えないのが鉄則です。

掃除に必要な道具と手袋の重要性

安全かつ効率的に作業を進めるために、事前に準備しておくべき「神器」たちをご紹介します。特に手袋選びは重要です。

  • 台所用中性洗剤:製品の寿命を守るための必須アイテム。
  • 厚手のゴム手袋:100円ショップの薄いビニール手袋は避けましょう。レンジフード内部の鋼板の切り口やファンの羽は刃物のように鋭く、少し触れただけでスパッと手を切ってしまう恐れがあります。内側が布張りになっているような、厚手の炊事用手袋や作業用手袋が安心です。
  • 柔らかいスポンジ・マイクロファイバークロス:コーティングを傷つけない優しい素材を選びます。
  • 古新聞・養生テープ:汚れ防止用。
  • ドライヤー・蒸しタオル:後述する「固着」対策に使います。

電源の確認を忘れずに

掃除を始める前には、安全のため必ず電源プラグを抜くか、ブレーカーを落とす、あるいは「お手入れロック機能」を使ってファンが回らない状態にしてください。

回転中のファンに触れると指を切断するような重大事故につながります。

LIXILのレンジフードASR|掃除に関する悩みと対策

手順通りにやっているはずなのに、「どうしても外れない」「ランプが消えない」といったトラブルに見舞われることは珍しくありません。

ここでは、ASRユーザーがよく直面する「困った!」を解決するための具体的な対策を解説します。

ファンが固くて外れない時の対処法

ファンが固くて外れない時の対処法

特に「ワンタッチ着脱」のタイプで頻発するのが、ボタンを押してもファンがシャフト(軸)から抜けないという現象です。これは故障ではなく、長期間掃除をしなかったことで、軸の周りに入り込んだ微細な油汚れが冷えて固まり、接着剤のように部品同士をくっつけてしまっていることが原因です。

この状態で力任せに引っ張ると、プラスチック製のロック機構が破損したり、モーターの軸が曲がったりしてしまいます。物理的な力ではなく、熱の力を利用しましょう。

固着した油を溶かす「温めテクニック」

  1. ドライヤーを使う:ファンの中心部分(軸がある場所)に向けて、ドライヤーの温風を数分間当て続けます。金属が温まることで内部の油が溶け出し、スルッと抜けるようになります。
  2. 蒸しタオルを使う:熱いお湯で絞ったタオルをファンの中心部に押し当て、しばらく温めます(火傷に注意)。

温めた直後は金属部分が高温になっている場合があるので、厚手の手袋をして慎重に作業してください。もしこれでも外れない場合は、無理をせずメーカーにメンテナンスを依頼するのも賢明な判断です。>LIXIL|お客様サポート

お手入れランプのリセット方法

お手入れランプのリセット方法

「掃除が終わったのに、スイッチパネルの『お手入れ』ランプが点灯したまま消えない!」と焦る方が非常に多いです。故障かな?と不安になりますよね。

実はこのランプ、汚れの度合いをセンサーで見ているわけではありません。あくまで「ファンが回転した累積時間」をカウントしているタイマーなのです。そのため、いくらピカピカに掃除をしても、人間が手動でリセット操作をしない限りランプは消えません

リセットの具体的な手順

機種によって微差はありますが、基本操作は以下の通りです。

  1. 換気扇の運転を停止した状態にします。
  2. 操作パネルにある「お手入れ」ボタン(またはリセット機能が割り当てられているスイッチ)を探します。
  3. そのボタンを約3秒間、長押しします。
  4. 「ピピッ」という電子音が鳴り、ランプが消灯すればリセット完了です。

これで内部のタイマーがゼロに戻り、また次の掃除時期までカウントを始めます。掃除の仕上げとして必ずこの儀式を行いましょう。

掃除の適切な頻度とタイミング

レンジフードの掃除頻度も悩ましい問題です。

LIXILの取扱説明書などでは、使用頻度にもよりますが、お手入れランプが点灯するタイミング(数ヶ月に1回程度)が目安とされています。

しかし、私の経験上おすすめしたいのは、「場所によって頻度を変える」という方法です。

  • 整流板の表面(週1回):ここは一番油がつきますが、平らで拭きやすい場所です。週に一度、夕食後の片付けついでにサッと水拭きするだけで、頑固な油汚れを防げます。
  • 内部ファン・フィルター(半年〜1年に1回):内部の掃除は分解が必要で大変です。普段から整流板をきれいにしていれば、内部への油の侵入はある程度抑えられます。お手入れランプがついた時や、年末の大掃除のタイミングで気合を入れて行えば十分です。

スターフィルター活用のメリット

スターフィルター活用のメリット

「そもそも、シロッコファンを洗うのが面倒くさすぎる!」という方には、市販の「スターフィルター」のような高性能フィルターを導入するのも一つの解決策です。

これは、純正の金属フィルターの上から被せる、あるいは置き換える形で設置する、分厚いガラス繊維製の使い捨てフィルターです。一般的な不織布フィルターとは比べ物にならないほど油の捕集率が高く、油汚れのほとんどをフィルターで食い止めてくれるため、内部のシロッコファンがほとんど汚れなくなります。

導入前の注意点:メリットとリスク

非常に便利なアイテムですが、メーカー(LIXIL)の純正品ではありません。フィルターが分厚いため、吸い込む時の抵抗(静圧)が高くなり、換気能力が若干落ちたり、モーターに負荷がかかったりする可能性があります。

多くのユーザーが問題なく使用しており、掃除の手間が劇的に減る(汚れたら捨てるだけ!)というメリットは計り知れませんが、あくまで自己責任での導入となる点を理解しておきましょう。

まとめ:LIXILレンジフードASRの掃除のポイント

LIXILのASRシリーズは、高機能なコーティングと工夫された構造を持つ、素晴らしいレンジフードです。その性能を長く維持するために、今回の重要ポイントをまとめました。

ASR掃除の鉄則まとめ

  • 塗装剥がれを防ぐため、中性洗剤ぬるま湯を厳守する(重曹・セスキは禁止)。
  • 傷をつけないよう、柔らかいスポンジや布を使用する。
  • 怪我防止のため、必ず厚手の手袋を着用して作業する。
  • ファンが固着して外れない時は、ドライヤーで温めて油を溶かす。
  • 掃除後は「お手入れボタン」を長押ししてタイマーをリセットする。

「中性洗剤とお湯」という基本さえ守れば、ASRの掃除は決して難しくありません。正しい知識でメンテナンスを行い、いつまでもきれいなキッチンで快適にお料理を楽しんでくださいね!

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