「サイズを測ったはずなのに、いざ組み立ててみたらニトリの洗濯機ラックが入らない…」そんな絶望的な状況に直面し、途方に暮れている方も多いのではないでしょうか。
楽しみにしていた収納改善計画が白紙に戻り、目の前には大きな段ボールと中途半端に組み上がったパイプの山。焦る気持ちは痛いほどよくわかります。
しかし、ここで諦めてはいけません。ラックが入らない原因を冷静に突き止めれば、かさ上げ台などのアイテムで解決できる場合もありますし、最悪の場合でも返品や別の収納方法への切り替えという選択肢が残されています。
この記事では、多くの人が陥る、ニトリの洗濯機ラックが設置できないパターンを徹底的に分解し、そこからリカバリーするための具体的な手順を、私の経験を交えて詳しく解説します。
- ニトリの洗濯機ラックが設置できない主な原因と物理的な干渉ポイントの深掘り
- 「かさ上げ台」などの便利グッズを使ってスペースを強制的に確保する裏技
- 開封済みや組み立て途中でも返品が可能かどうかの詳細な判断基準
- どうしても設置できない場合に即座に切り替えられる収納の代替アイデア
ニトリの洗濯機ラックが入らない原因と実例
「なぜ入らないのか?」その原因は一つではありません。
ニトリの製品はコストパフォーマンスに優れ、多くの家庭で使えるように設計されていますが、日本の住宅事情、特に水回りの規格は驚くほど複雑で多様です。
ここでは、実際に多くのユーザーが直面した「入らない」失敗事例を5つのパターンに分類し、それぞれのメカニズムを詳しく解説します。ご自身の状況がどれに当てはまるかを確認することが、解決への第一歩です。
防水パンの枠やサイズが合わない

洗濯機ラックの設置において、最大の障壁となるのが「防水パン」の存在です。
ニトリのカタログに記載されているラックのサイズは、あくまで「ラック単体の寸法」であり、防水パンの複雑な形状までは考慮しきれていないケースがあります。特に問題となるのは、防水パンの「縁」の形状と、壁とのわずかな隙間です。
防水パンの規格とラックの脚の相性
日本の防水パンには、一般的な「640mm × 640mm」の正方形タイプや、それよりも広いタイプなど複数の規格が存在します。
ニトリの置き型ラックは、防水パンの外側に脚を設置することを前提としたサイズ設計になっているものが多いですが、実際の住宅では防水パンが壁ぴったりに設置されており、ラックの脚(パイプ径約2~3cm)を落とし込む隙間が物理的に存在しないことがよくあります。
縁(リム)の厚みが命取りになることも
また、突っ張りタイプのラックは、防水パンの縁の上にも設置できる仕様になっていますが、ここにも落とし穴があります。古いマンションやアパートに見られる防水パンの中には、縁の厚みが3cm以上あったり、角が丸みを帯びていたりするものがあります。
ニトリの突っ張りラックのアジャスターは、一般的に厚さ2cm程度までの平らな縁に対応するように作られているため、厚みのある縁や丸い縁の上では安定せず、設置を断念せざるを得ないのです。
ここをチェック!
「防水パンのサイズ」だけでなく、「壁とパンの間の隙間が何センチあるか」「パンの縁の厚みは何ミリか」「縁の形状はフラットか」の3点を必ず確認してください。
蛇口の位置が邪魔になるケース

サイズ計測の際に見落とされがちなのが、給水用の「蛇口(水栓)」の位置と突出具合です。
床面積や防水パンのサイズばかりに気を取られていると、いざラックを設置しようとした瞬間に、ラックのフレームや棚板が蛇口に激突するという事態が発生します。
背面給水とクロスバーの干渉
最近の住宅では洗濯機側面の壁に蛇口があることが多いですが、築年数が経過した物件や一部の集合住宅では、洗濯機の真後ろの壁から蛇口が出ているケースがあります。
ニトリの置き型ラックの多くは、横揺れ防止のために背面に「クロスバー(筋交い)」というX字型の補強パーツを取り付けます。このクロスバーが通る位置と、壁から飛び出した蛇口の位置が偶然にも一致してしまうことがあります。
無理な設置は水漏れ事故の原因に
「少し当たるくらいなら大丈夫だろう」と無理にラックを押し込むのは非常に危険です。
ラックの振動が常に蛇口に伝わる状態になると、接続部分が緩んだり、最悪の場合は蛇口そのものが破損して水漏れ事故を引き起こしたりするリスクがあります。
特に、「壁ピタ水栓」などで蛇口の位置を上げている場合、その突出した水栓部分がラックの棚板位置と干渉し、棚が一段使えなくなってしまうというケースもあります。
ドラム式の奥行き不足による失敗

近年主流になりつつあるドラム式洗濯機ですが、その大きさ、特に「奥行き」がラック設置の大きな妨げになることがあります。
ドラム式洗濯機は、縦型洗濯機に比べて本体の奥行きが深く、防水パンの手前ギリギリまでせり出して設置されるのが一般的です。
ラックの脚を置くスペースの消失
ニトリの置き型ラックは、4本の脚で自立する構造です。通常、後ろの脚は防水パンの後ろ(または中)、前の脚は防水パンの手前の床(または中)に設置します。
しかし、奥行きのあるドラム式洗濯機が鎮座していると、防水パンの中には脚を置くスペースが全く残されていません。かといって、防水パンの外(床)に置こうとすると、今度はラック自体の奥行きが足りず、洗濯機本体とラックの脚がつっかえてしまうというジレンマに陥ります。
重量級洗濯機は動かせない
さらに問題を深刻にするのが、ドラム式洗濯機の重量です。80kg近くある洗濯機を、ラックを設置するためだけに一度どかしたり、ずらしたりすることは、一般の家庭ではほぼ不可能です。
つまり、理論上はラックが入るスペースがあるとしても、洗濯機を動かせないため、ラックを設置する作業スペースが確保できず、事実上設置不可能という結論に至ることが多いのです。
突っ張りタイプと天井の梁問題
床のスペースが狭い洗面所では、天井と床で固定する「突っ張りタイプ」のラックが重宝されます。しかし、このタイプを選ぶ際に最大の敵となるのが、マンション特有の「天井の梁(はり)」です。
段差対応の限界と強度の問題
洗面所の天井は、上階の配管スペース確保などの理由で、一部が下がって段差(梁)になっていることがよくあります。
ニトリの突っ張りラックは、左右のポールが独立して伸縮するため、ある程度の段差には対応可能です。しかし、梁の下までの高さがラックの「最小設置高さ」を下回っている場合、ポールを縮めきることができず設置できません。
また、梁の幅(奥行き)が極端に狭い場合も問題です。突っ張りポールの天井側のパッド(接地面)は、ある程度の面積を必要とします。梁の幅が狭すぎてパッドが半分しか掛からないような状態では、十分な固定力が得られず、地震や日常の振動で転倒する危険性が極めて高くなります。
さらに、天井材が石膏ボードのみで裏に下地(木枠など)がない場所に強く突っ張ると、天井を突き破ってしまう恐れもあるため、設置場所の見極めは慎重に行う必要があります。
注意点
天井の強度が不足している場所への突っ張り設置は、転倒事故の原因になります。指で押してペコペコへこむような天井には設置を避けたほうが無難です。
組み立てで背面バーが入らない
「サイズも測った、防水パンもクリアした、いざ組み立てよう!」という段階で直面するのが、「組み立てられないから入らない」問題です。
狭小空間での「知恵の輪」状態
ニトリの置き型ラックの多くは、組み立て式です。説明書通りに作ろうとすると、下部の補強バー(コの字型のパーツなど)や背面のクロスバーをネジ止めする工程が出てきます。しかし、既に洗濯機が設置されている洗面所は、左右の壁との隙間が数センチしかないことも珍しくありません。
この狭い隙間に手を入れてドライバーを回すことは至難の業です。かといって、広いリビングでラックを完成させてから洗面所に運び込もうとすると、今度は洗面所のドアの幅よりもラックの奥行きや幅が大きくなってしまい、搬入できないというパラドックスに陥ります。
また、洗濯機の上から被せるように設置しようとしても、天井の高さが足りずにつかえてしまうこともあります。
このように、完成形が入るサイズであっても、組み立てる過程のスペースが確保できないために設置を断念するケースは非常に多いのです。
ニトリの洗濯機ラックが入らない時の対処法
原因が判明し、「やっぱり入らない」と確定しても、まだ諦めるのは早いです。
状況によっては、追加のアイテムを使用したり、交渉によって返品ができたり、あるいは全く別のアプローチで収納を確保したりすることができます。
ここでは、具体的な解決策と次善の策をご提案します。
かさ上げ台でスペースを作る方法

物理的な干渉を回避し、スペースを強制的に生み出すための最強のアイテムが「かさ上げ台(洗濯機置き台)」です。「ふんばるマン」などの名称でホームセンターやネット通販で販売されており、ニトリでも取り扱いがあります。
スペース確保と干渉回避の一石二鳥
かさ上げ台を使用すると、洗濯機本体の位置が6cm〜10cm程度高くなります。これにより、洗濯機の下に空間が生まれ、これまで邪魔だった排水ホースを洗濯機の下に通すことができるようになります。ホースの逃げ場ができることで、防水パンの中や縁の上にラックの脚を置くスペースが確保できる可能性が高まります。
また、洗濯機の高さが変わることで、ラックの背面バーや棚板と、洗濯機の給水ホースや蓋が干渉していた位置関係がずれ、うまい具合に設置できるようになるケースもあります。
ただし、洗濯機が高くなる分、蛇口との距離が縮まって新たな干渉が生まれないか、ドラム式の投入口が高くなりすぎて使いづらくならないかは事前に確認が必要です。
メリットは収納だけじゃない!
かさ上げ台を導入すると、洗濯機下の掃除機がかけられるようになり、ホコリが溜まりやすい洗濯機周りを清潔に保てるという大きなメリットもあります。
開封後でも返品できる条件とは
あらゆる手を尽くしても設置できなかった場合、金銭的なダメージを最小限に抑えるために「返品」を検討することになります。
ニトリの返品規定は明確ですが、状況によって対応が分かれます。
「組み立てたかどうか」が運命の分かれ道
ニトリの公式サイトによると、店舗で購入した場合もネットで購入した場合も、お客様都合による返品・交換は「商品到着後14日以内」であれば可能です。しかし、これには重要な条件がつきます。それは「未開封」または「開封済みだが未使用」であることです。(出典:ニトリネット『キャンセル・返品・交換』)
ここで最も注意すべきなのが、「一度でも組み立てた商品は、原則として返品不可」というルールです。ネジを一本でも締めてしまうと、部材に痕跡が残り「使用済み」とみなされます。パッケージ(段ボール)を激しく破損してしまった場合も、返品を断られる理由になり得ます。
ただし、商品自体に歪みがある、ネジ穴がずれているといった「初期不良」が原因で組み立てられなかった場合は、当然ながら返品・交換の対象となります。
もし「開封して中身を確認したけれど、明らかにサイズが合わないので組み立てていない」という状態であれば、部品をすべて揃え、できる限り丁寧に梱包し直した上で、レシートを持って店舗のサービスカウンター(またはお問い合わせ窓口)に相談してみてください。
誠実に対応すれば、受け付けてもらえる可能性があります。
| 状態 | 返品の可能性 | 注意点 |
|---|---|---|
| 未開封 | 〇(高い) | レシート必須・期限内であること |
| 開封済・未組立 | △(要相談) | 部品が全て揃っているか確認 |
| 組立途中・組立後 | ×(厳しい) | 初期不良がある場合を除く |
※上記は一般的な目安です。実際の対応はニトリの最新の規定に従ってください。
どうしても無理な場合の代用案

ニトリのラック設置が物理的に不可能、あるいは返品することになったとしても、洗面所の収納不足という課題は残ります。
そこで、ニトリのラック以外で収納を確保する現実的な代替案をご紹介します。
1. 突っ張り棚(シェルフタイプ)への切り替え
「ラックが入らないなら、棚だけ突っ張ればいい」という発想です。床に脚を置く必要がないため、防水パンの形状や排水ホースの位置に一切影響されません。壁と壁の間に強力な突っ張り棚を設置すれば、洗剤やタオルを置く十分なスペースが生まれます。
ニトリでも「強力つっぱり棚」などが販売されています。
2. マグネット収納をフル活用する
洗濯機の側面や前面がスチール製であることを利用し、マグネット式の収納ラックを取り付ける方法です。最近のマグネット収納は非常に強力で、洗剤ボトルを数本置いてもびくともしません。
ニトリの「FLATシリーズ」や、山崎実業の「towerシリーズ」などが有名です。設置の手間もゼロで、いつでも位置調整ができるのが最大の魅力です。
3. スリムな隙間ワゴンの導入
洗濯機の上ではなく「横」の隙間を活用する方法です。
防水パンと洗面台の間にわずか10cm〜15cm程度の隙間があれば、そこに引き出し式のスリムワゴンやストッカーを設置できます。これにより、洗剤やシャンプーのストックなどをスッキリ収納できます。
失敗を防ぐ購入前の計測リスト

もし、これから別のラックを買い直す場合や、これから購入を検討している知人がいる場合は、以下のチェックリストを活用して「完全な計測」を行ってください。目分量での判断は禁物です。
| 計測箇所 | チェックポイント詳細 |
|---|---|
| 防水パン | 外寸・内寸だけでなく、縁の高さ・幅・厚みをミリ単位で測る。壁との隙間も確認。 |
| 蛇口 | 床からの高さ、壁からの突出距離、左右の位置。ラックのフレーム予定地と重ならないか。 |
| 天井 | 設置予定場所の正確な高さ。梁(段差)の有無と、梁の幅・奥行き。 |
| 洗濯機 | 蓋を開けた時の最大高さ(折りたたみ蓋の頂点)。脱水時の揺れ幅の余裕。 |
| 搬入経路 | 洗面所のドア幅、廊下の幅。組み立て後のサイズが通過できるか。 |
まとめ:ニトリの洗濯機ラックが入らない原因と対処法
ニトリの洗濯機ラックが入らないトラブルは、製品の欠陥というよりも、ご自宅の「防水パン」「蛇口」「天井」といった建築構造との相性問題がほとんどです。
どれほど魅力的な商品でも、物理的に入らなければ意味がありません。
もし現在進行形で「入らない」状況にあるなら、まずは「かさ上げ台」の導入でスペースが作れないかを検討してみてください。それでも難しい場合は、無理に設置して家屋や洗濯機を傷つける前に、返品の相談をするか、突っ張り棚やマグネット収納といった別の手段に切り替える勇気も必要です。
収納作りは「ラックを置くこと」が目的ではなく、「快適な生活空間を作ること」がゴールです。この記事の情報を参考に、ぜひあなたのお家に最適な解決策を見つけてください。




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