屋根に鳥のフン!届かない場所の掃除はどうする?腐食リスクと安全な対処法

自宅の2階軒先にこびりついた鳥のフンを見上げ、掃除方法に悩む男性の様子。 家事の時短
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ふと自宅の外観を見上げたとき、2階の軒先やベランダの屋根など、どうしても手の届かない高い場所に鳥のフンがこびりついているのを見つけてしまうことってありませんか。

脚立を使っても届きそうにないし、高圧洗浄機で下から狙っても水が届くか微妙な距離だと、一体どう対処すべきか本当に悩みますよね。

そのまま放置して雨で自然に流れるのを期待したくなりますが、実はそれが建物を深刻に傷める原因になってしまうこともあります。

この記事では、そんなもどかしい高所の汚れを安全に解決するための具体的な掃除方法や、プロに頼むべき判断基準について、私の経験も交えながら詳しくお話しします。

  • 放置することで生じる屋根材の化学的腐食リスクと資産価値への影響
  • 高圧洗浄機や伸縮モップなどDIYでできる限界と安全な手順
  • 高所作業を安全かつ確実に依頼できる専門業者の選び方と適正費用
  • 掃除後の再発を物理的に防ぐための鳥よけグッズと予防策の重要性

屋根の鳥のフン掃除|届かない場所の対処法

「届かないけれど、何とかして自分で綺麗にしたい」という気持ち、とてもよく分かります。

しかし、相手は頑固な汚れであり、場所は高所です。

ここでは、なぜ早めの対処が必要なのかという科学的な理由と、私たちが地上から安全にできるギリギリの範囲、そしてその具体的なテクニックについて掘り下げていきます。

放置すると起こる建材の腐食と劣化

金属屋根(ガルバリウム鋼板)に付着した鳥のフンが原因で、塗装が剥がれ深刻なサビが発生している様子。

「高い場所だし、誰が見るわけでもないから」と、ついつい見て見ぬふりをしてしまいがちですが、実は鳥のフンは想像以上に強力な「酸性」の化学物質を含んでいます。

特に私たち日本人の住宅によく使われているガルバリウム鋼板などの金属屋根や、スレート屋根(コロニアル)などは、酸に対して非常にデリケートです。

具体的には、鳥のフンに含まれる尿酸はpH3.0から4.5程度の強い酸性を示します。これは一般的な酸性雨(pH5.6程度)と比較しても圧倒的に酸性度が高く、腐食力が強いことを意味します。

この強酸性の物質が屋根材に付着したまま長期間放置されると、じわじわと塗装の樹脂結合を加水分解し、表面の保護膜を破壊してしまいます。さらに進行すると、金属屋根の場合はメッキ層(酸化被膜)を溶解させ、最終的には建材そのものの鉄素地を腐食させて穴を開けてしまうことさえあります。

また、フンが水分を含むことで常に湿った状態になり、金属表面で電位差が生じてサビの発生を加速させる「局所電池腐食」という現象も引き起こしかねません。特に夏場の屋根は60度を超える高温になり、化学反応の速度が劇的に上がります(アレニウスの法則)。

「たかがフン」と侮っていると、わずか数ヶ月で取り返しのつかないダメージを受け、美観の問題だけでなく、家の寿命を縮めるリスクがあることをまずは知っておいてください。

雨で自然に流れるのを待つのはNG

「次の大雨で綺麗に流れてくれるんじゃないか」と期待したくなる気持ちも痛いほど分かります。しかし、残念ながら鳥のフンはそう簡単には流れてくれません。これには生物学的な理由があります。

私たち哺乳類は体内の窒素代謝物を水溶性の「尿素」として排出しますが、鳥類は水に溶けにくい不溶性の「尿酸」として排出します。あの白い固形物がまさに尿酸です。

さらに、鳥のフンには未消化の種子やタンパク質、脂分などが複雑に混ざり合っており、これらが乾燥するとセメントのようにカチカチに固着してしまいます。

雨が降ると一時的に表面がふやけますが、芯までは水が浸透せず、晴れて乾くとまた強力に張り付くというサイクルを繰り返すだけで、完全に流れ落ちることはほとんどありません。

それどころか、雨水によって溶け出した酸性成分や汚染物質が広がり、下の外壁やベランダ、洗濯物を汚してしまう二次被害にもつながります。また、乾燥したフンが風で舞い上がると、病原菌が周囲に拡散する衛生上のリスクもあります。

自然任せにするのは建物の健康にとっても、私たちの健康にとっても避けた方が賢明です。

高圧洗浄機が届かない!距離の限界

地上から家庭用高圧洗浄機で2階の軒先を狙うが、水圧が届かず霧状になってしまっている様子。

高圧洗浄機をお持ちの方なら、「下から強力な水流を当てれば落ちるのでは?」と考えるかもしれません。確かに高圧洗浄機はコケや泥汚れには強力なツールですが、地上から2階の軒先(高さ約6〜7メートル)に向けて噴射する場合、物理的な限界が存在します。

まず「圧力損失」の問題です。ポンプから吐出された高圧水は、ノズルから離れれば離れるほど、空気抵抗によって運動エネルギーを急激に失います。手元ではコンクリートを削るほどの威力があっても、数メートル先ではただの「霧状の水」になってしまい、こびりついたフンを剥がす物理的な力はほとんど残っていません。市販の家庭用モデル(8〜12MPa程度)では、有効な洗浄距離はせいぜい数十センチから1メートル程度です。

次に「反作用」のリスクです。届かせようとしてケルヒャーなどの延長パイプを使用する場合、4メートル近く伸ばした先端から水を噴射すると、テコの原理で手元に強烈な反動が伝わります。これを地上で制御するだけでもかなりの腕力が必要ですが、もし脚立の上で行えば、バランスを崩して転倒・転落する大事故に直結します。

不安定な足場での高圧洗浄機の使用は、プロでも行わない危険な行為ですので絶対にやめましょう。

長い伸縮モップなどの道具を使うコツ

地上から長い伸縮モップを使い、カーポートの屋根に付いた鳥のフンを安全に掃除しようとしている男性。

カーポートの上や1階の屋根など、高さ3〜4メートル程度の比較的近い場所であれば、市販の「伸縮ロングモップ」が最も現実的かつ安全な選択肢となります。

ホームセンターやネット通販で、最長4メートルほど伸びる製品が手に入ります。

成功のポイントは「時間をかけてふやかす」こと

いきなりゴシゴシ擦るのは絶対にNGです。乾燥したフンには砂利や硬い種子が含まれており、そのまま擦ると屋根材(特にポリカーボネートや塗装面)をヤスリで削るように傷つけてしまいます。

  1. まずは散水ノズルの「ストレートモード」など飛距離の出る設定で、フンにたっぷりと水をかけます。
  2. 10分〜20分ほど待ちます。これが最重要です。十分に水分を含ませて、フンを軟化させます。夏場ですぐ乾く場合は何度か水をかけます。
  3. 十分に柔らかくなったら、モップのスポンジ面やブラシで優しく撫でるように拭い取ります。
  4. 最後に綺麗な水で成分が残らないよう洗い流します。

長い柄を最大まで伸ばしての作業は、先端が揺れやすく、手首にかなりの負担がかかります。無理に力を入れて擦ろうとすると、柄がしなって力が逃げるだけでなく、モップが破損する原因にもなります。

「削り取る」のではなく「溶かして拭う」イメージで、焦らず作業するのがコツですよ。

固まったフンを洗剤で溶かす方法

水だけでふやかしてもどうしても落ちない頑固な汚れには、化学の力、つまり洗剤を頼りましょう。ただし、使う洗剤の成分選びには細心の注意が必要です。

最もおすすめなのは、「鳥のフン専用クリーナー」や「酵素系クリーナー」です。これらはフンに含まれるタンパク質や脂肪分を酵素の力で分解・液状化させる作用があり、ゴシゴシ擦らなくても汚れが自然と浮き上がってきます。

スプレーしてからの「浸け置き時間」をしっかり取ることで効果を発揮します。

一方で、注意が必要なのが「塩素系漂白剤(カビキラーなど)」です。殺菌力は強力ですが、酸性のフンと混ざることで有毒な塩素ガスが発生するリスクがあるほか、金属に対する腐食性が極めて強く、トタンや釘、アルミサッシを一瞬でサビさせてしまう恐れがあります。

また、アルカリ性の強い洗剤もアルミを変色させることがあります。

手元に専用洗剤がない場合は、食器用洗剤(中性洗剤)をぬるま湯で薄めたものがベストです。
素材を傷めず、環境負荷も低いため、安心してたっぷりと使うことができます。じっくり浸透させてから洗い流しましょう。

届かない屋根についた鳥のフン|業者への掃除依頼

DIYでの対処法をご紹介しましたが、やはり「物理的に届かない」「危険すぎる」というケースも多々あります。無理をして怪我をしてしまっては元も子もありません。

ここからは、プロに頼むべき明確なラインと、実際の依頼にかかるコストや業者の選び方について詳しくお話しします。

2階の軒先など高所作業の危険性

まず、高所作業のリスクについて法律の観点から見てみましょう。

日本の労働安全衛生規則(第518条)では、高さが2メートル以上の箇所での作業は「高所作業」と定義されており、事業者は作業床(足場)を設けるか、墜落制止用器具(安全帯)を使用することが義務付けられています。(出典:厚生労働省『労働安全衛生規則(抄)』

一般的な戸建て住宅の場合、1階の屋根でも約3メートル、2階の屋根となれば地上から6メートル以上の高さがあります。これはプロの職人であっても命綱なしでは作業してはいけない領域です。

私たち一般人が、不安定なハシゴの上で両手を使って掃除をするのは、自殺行為に近い危険性があります。

「これくらいならハシゴで届くかも」という油断が一番危険です。足が地上から離れる高さ、特に2階部分に関しては、DIYの範疇を超えていると認識し、迷わずプロに任せる勇気を持つことが、結果として家族を悲しませないための最良の選択になります。

清掃を依頼できる業者の種類と選び方

安全対策のために足場を組み、ヘルメットと安全帯を着用したプロの業者が、高圧洗浄機で2階の屋根を洗浄している様子。

一口に「鳥のフン掃除」といっても、引き受けてくれる業者はいくつか種類があり、それぞれ得意分野や保有している機材が異なります。状況に合わせて最適な業者を選ぶことが大切です。

業者タイプ 得意な作業・強み おすすめのケース
ハウスクリーニング・便利屋 ベランダ、カーポート、1階屋根の洗浄。小回りが利く。 足場不要な場所、スポット的な汚れ、費用を抑えたい場合
害獣・害虫駆除業者 巣の撤去、消毒、防鳥ネット施工。鳥の習性に詳しい。 ハトが住み着いている、巣や卵がある、再発防止を徹底したい場合
塗装・屋根工事業者 高圧洗浄(エンジン式)、屋根の劣化診断、補修、塗装。 屋根全体の汚れ、雨漏りの不安がある、外壁塗装とセットで行う場合

単に掃除だけなら便利屋さんが手軽ですが、もし「鳥が頻繁に来る」「巣がある」といった場合は、鳥獣保護管理法に基づいた適切な対応や、本格的な侵入防止対策ができる害獣駆除業者が安心です。

屋根のサビが気になる場合は、メンテナンスを兼ねて屋根工事業者に相談するのが良いでしょう。

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専門業者に頼む場合の費用相場

気になる費用ですが、作業内容や足場の有無によって大きく変わります。大まかな目安として知っておくと、見積もりを取る際に役立ちます。

  • ベランダ等のフン清掃: 1万〜3万円程度(作業員1名〜2名)
  • 高圧洗浄(屋根全体): 1平米あたり200〜400円程度(※別途、高圧洗浄機使用料や諸経費)
  • バイオ洗浄(屋根): 1平米あたり500〜800円程度(特殊な洗剤を使用する場合)
  • 巣の撤去・消毒: 1.5万〜5万円程度(巣の場所やヒナの有無による)

足場代に注意!

屋根の上の作業で安全確保のために足場を組む必要がある場合、足場代だけで15万〜25万円ほどかかることがあります。フン掃除単体で足場を組むのは非常に割高になってしまいます。そのため、築10年以上経過しているなら、外壁塗装や屋根塗装のタイミングに合わせて、高圧洗浄(バイオ洗浄)を依頼するのが最もコスパが良い方法です。

太陽光パネル下の営巣とフン害対策

住宅の屋根に設置された太陽光パネルと屋根の隙間に、スズメが巣を作り、フンが堆積している様子。

最近、戸建て住宅で特に深刻化しているのが、屋根に乗せた太陽光パネルの下にハトやスズメが巣を作ってしまうトラブルです。

パネルと屋根の間には通気のために約10cmほどの隙間がありますが、ここは天敵(カラスや猫)から守られ、雨風もしのげて暖かく、鳥にとっては「最高のマンション」なのです。

ここに巣を作られると、大量のフンが堆積して不衛生なだけでなく、パネル表面にフンがついて影になることで発電効率が低下します。さらに、影になった部分が熱を持つ「ホットスポット現象」によりパネルが故障したり、鳥が配線をついばんで断線・漏電させたりと、火災やシステムダウンのリスクも生じます。

パネルの下は外部からは絶対に手が届かないため、このケースは100%専門業者による対応(パネルの脱着や専用フェンスの設置)が必要です。放置すればするほど撤去費用が膨らむため、早めの相談をおすすめします。

ネットやスパイク等の再発防止グッズ

鳥の飛来や着地を防ぐために、屋根のパラペット部分に設置されたステンレス製のバードスパイク(剣山)。

せっかく高いお金をかけて綺麗に清掃しても、またすぐに鳥が来てしまっては意味がありません。鳥は「帰巣本能」が非常に強く、一度「ここは安全で快適だ」と認識した場所には、何度追い払っても執着して戻ってくる習性があります。

そのため、清掃とセットで「物理的に二度と入れない、止まれないようにする」対策が必須です。

  • 防鳥ネット: ベランダやマンションの吹き抜けなど、空間全体を物理的に塞ぐ最も確実な方法です。網目は対象の鳥(ハトなら30mm以下、スズメなら20mm以下)に合わせて選びます。
  • バードスパイク: 屋根の棟、パラペット、室外機の上など、鳥が着地するポイントに設置します。安価な樹脂製は紫外線で劣化して折れやすいため、耐久性のあるステンレス製(SUS304)が推奨されます。
  • 忌避剤(ジェル): ネットが張れない場所や美観を重視する場合に使います。鳥が嫌がる味や匂い、触れた時のベタつき感で学習させますが、効果は1〜3年程度と限定的で、定期的な塗り直し(メンテナンス)が必要です。

結論:届かない屋根についた鳥のフン掃除はプロへ

高所の鳥のフン問題は、放置すれば酸による腐食で家の資産価値を毀損し、無理に自分でやろうとすれば転落事故という取り返しのつかないリスクを招きます。

「届かない」と判断した時点で、それは「プロに任せるべきサイン」です。

一時的な出費は痛いかもしれませんが、屋根材を葺き替えたり、外壁を張り替えたりする数百万円規模の修繕費に比べれば、早期の清掃と予防にかかる費用は、大切な我が家を長く守るための賢い投資と言えます。

まずは複数の信頼できる業者に見積もりを取り、現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

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