エアコンの室外機からキュルキュル、時にはキュッキュッという鈴虫のような異音が聞こえて、故障ではないかと不安になっていませんか。
この音、たまにしか鳴らないからと放置して大丈夫なのか、自分でできる直し方はないのか気になりますよね。特に賃貸物件にお住まいの場合や、お使いのダイキンエアコンでの具体的な対処法も知りたいところです。
しかし、慌てて対処するのは危険を伴うこともあります。まずは安全のために電源オフを試すことから始めましょう。
この記事では、エアコン室外機の気になる異音の原因から、ご自身でできる安全な確認方法、そして専門業者に相談すべきタイミングまで、分かりやすく解説します。
- キュルキュル音の主な原因
- 自分でできる応急処置と注意点
- 異音を放置した場合のリスク
- 専門業者に相談すべきタイミング
エアコン室外機のキュルキュルという異音:原因を解説
- キュルキュル、キュッキュッという音の正体
- たまに異音がする場合のチェックポイント
- ファンモーターの故障や潤滑油不足が原因か
- ファンベルトの劣化やホコリも考えられる
キュルキュル、キュッキュッという音の正体

エアコンの室外機から聞こえる「キュルキュル」あるいは「キュッキュッ」といった甲高い音の正体は、主に内部部品の摩擦や劣化が原因です。室外機は常に屋外の過酷な環境に晒されているため、内部の部品が経年により摩耗したり、潤滑油が不足したりすることで異音が発生しやすくなります。
具体的には、空気を送り出すためのファンを回転させる「ファンモーター」や、その動力を伝える「ファンベルト」といった回転部分に問題が生じているケースがほとんどです。音が鳴るということは、何らかの部品が無理な状態で動いているサインであり、放置することでより深刻な故障につながる可能性があります。
異音の主な原因
異音の原因は一つとは限りませんが、主に以下の4つが考えられます。それぞれの原因によって、音の鳴り方や対処法が異なります。
主な原因 | 特徴と解説 |
---|---|
ファンモーターの不具合 | モーター内部のベアリング(軸受け)の摩耗や、潤滑油(グリス)が切れることで発生する金属の摩擦音です。 |
ファンベルトの劣化 | ゴム製のベルトが経年劣化で硬化し、ひび割れなどを起こすことでファンがスムーズに回らなくなり、摩擦音を発します。 |
ホコリや異物の付着 | ファンやその周辺にホコリやゴミ、枯れ葉などが絡まり、回転の妨げになることで異音が出ることがあります。 |
コンプレッサーの故障 | 冷媒ガスを圧縮する心臓部であるコンプレッサーの内部部品が故障している場合も、金属音や異音が出ることがあります。これは重度の故障に該当します。 |
これらの原因を特定するには専門的な知識が必要な場合が多いため、まずはご自身で安全に確認できる範囲のチェックから始めることが重要です。
たまに異音がする場合のチェックポイント

「毎日ではないけれど、たまにキュルキュル音がする」という場合、特定の条件下で症状が出ている可能性があります。常時異音がしないからといって安心はできません。むしろ、故障が進行し始めている初期段階のサインである可能性が高いです。
もし異音が断続的に発生する場合は、どのような状況で音が鳴るのかを注意深く観察することで、原因を特定する手がかりになります。
異音発生時の状況チェックリスト
音が鳴った時に、以下の項目を確認・記録しておくと、専門業者に相談する際にスムーズに状況を伝えられます。
例えば、暖房運転時や外気温が低い時だけ音が大きい場合、モーターにかかる負荷が大きくなることで症状が顕著に出ていると考えられます。このように状況を把握しておくことは、原因の切り分けに非常に役立ちます。
異音が自然に消えた場合でも注意が必要です。
一度症状が出たということは、部品の摩耗や劣化が始まっている証拠です。根本的な原因が解消されたわけではないため、いずれ再発し、より悪化する可能性が高いと考えましょう。
ファンモーターの故障や潤滑油不足が原因か
キュルキュルという異音の原因として最も可能性が高いのが、室外機のファンモーターの不具合です。ファンモーターは、室外機の熱を放出するためにファンを高速で回転させる、非常に重要な部品です。
モーター内部には、回転軸を滑らかに支えるためのベアリング(軸受け)という部品が使われています。長年使用することで、このベアリングが摩耗したり、潤滑のためのグリス(潤滑油)が切れたりすると、金属同士が直接こすれ合うような甲高い摩擦音が発生します。これが「キュルキュル」音の主な正体です。
潤滑油(グリス)が切れるとなぜ音が鳴る?
イメージとしては、自転車のチェーンに油を差さないでいると「キーキー」と音が鳴るのと同じ原理です。潤滑油が不足すると、部品同士の摩擦が大きくなり、異音が発生するだけでなく、部品の摩耗を早めてしまいます。さらに、モーターに余計な負荷がかかることで、消費電力の増加や故障の原因にも繋がります。
ご自身での分解や注油は絶対に避けてください
モーターの分解やグリスアップには専門的な知識と技術が必要です。知識がないまま分解しようとすると、配線を傷つけてショートさせたり、部品を破損させてしまったりする危険があります。結果的に修理費用が高額になるケースも少なくありません。ファンモーターの不具合が疑われる場合は、絶対に自分で対処しようとせず、速やかに専門業者に点検を依頼してください。
ファンベルトの劣化やホコリも考えられる

ファンモーター本体だけでなく、関連する他の部品が原因で異音が発生することもあります。特に、ファンベルトを使用しているタイプの室外機や、お手入れが長期間行われていない場合に注意が必要です。
ファンベルトの経年劣化
一部のエアコン室外機では、モーターの動力をファンに伝えるためにゴム製の「ファンベルト」が使用されています。このベルトは、長年の使用や紫外線、寒暖差などの影響で経年劣化します。ゴムが本来の柔軟性を失って硬くなったり、表面にひび割れが生じたりすると、プーリー(滑車)との間でスリップを起こし、「キュルキュル」という摩擦音を発生させます。この場合、ベルトを新しいものに交換する必要があります。
ファンやフィルターへのホコリの付着
室外機は屋外の空気を大量に吸い込んで熱交換を行うため、フィルターや内部のファンにホコリやゴミ、枯れ葉などが付着しやすいです。汚れが蓄積すると、空気の通り道が狭くなり、ファンに余計な負荷がかかります。この負荷が原因でモーターから「ブーン」といううなり音や「キュルキュル」といった異音が発生することがあります。
ファン自体に異物が絡まっていると、回転するたびに何かに接触して「カラカラ」「カタカタ」といった音を立てることもあります。
電源を切り、安全を確認した上で、見える範囲の大きなゴミを取り除くだけで音が改善するケースもあります。
エアコン室外機のキュルキュルという異音への対処法
- まずは電源オフで安全を確保しよう
- 自分でできる異音の直し方と注意点
- 異音を放置すると起こるリスク
- 賃貸物件での異音トラブルの解決策
- ダイキンエアコンの異音も原因は同じ?
- まとめ:エアコン室外機のキュルキュルという異音は業者へ相談しよう
まずは電源オフで安全を確保しよう
室外機から異音が聞こえた場合、原因の確認や対処を行う前に、何よりもまず安全を確保することが最優先です。感電やケガを防ぐため、必ず正しい手順でエアコンの電源を完全に停止させてください。
手順としては、最初にリモコンでエアコンの運転を停止します。その後、必ずエアコン専用のコンセントを抜いてください。ブレーカーを落とす方法もありますが、どのブレーカーがエアコンに繋がっているか不明な場合は、コンセントを抜くのが最も確実で安全です。
コンセントを抜くことの重要性
リモコンで電源を切っただけでは、エアコン本体に電気が流れている「待機電力」の状態です。この状態で内部に触れると、感電やショートを引き起こす可能性があり非常に危険です。特に、金属部分や電気配線に触れる可能性がある作業を行う際は、電源プラグが抜かれていることを必ず確認してください。

「ちょっと見るだけだから大丈夫」という油断が、大きな事故につながることもあります。安全第一で、必ずコンセントを抜く習慣をつけましょう!
自分でできる異音の直し方と注意点

専門知識がない方が自分で室外機の「直し方」を試みるのは、基本的には推奨されません。しかし、業者に連絡する前に確認できることや、応急処置として試せることもあります。
自分でできること
- 室外機周辺の確認と清掃:
電源プラグを抜いた状態で、室外機の吸込口や吹出口の周りに枯れ葉やゴミ、物を置いていないか確認します。空気の流れを妨げているものがあれば取り除きましょう。また、見える範囲の大きなホコリやクモの巣などを、ほうきや掃除機で優しく取り除きます。 - フィルターの清掃:
室外機の側面や背面にあるフィルターがホコリで目詰まりしている場合は、掃除機で吸い取るか、柔らかいブラシで汚れを落とします。
簡単な清掃によって空気の流れがスムーズになり、ファンへの負荷が減ることで、異音が軽減・解消されるケースがあります。
絶対にやってはいけないこと
一方で、以下のような行為はさらなる故障や事故の原因となるため、絶対に行わないでください。
特に、自己判断での注油は厳禁です。モーターには専用のグリスが必要であり、市販の潤滑スプレーを使用すると、内部の樹脂部品を溶かしたり、ホコリを吸着させて症状を悪化させたりする原因になります。
基本的に、「ネジを外す」「カバーを開ける」といった作業が必要になる場合は、専門家の領域だと考え、速やかに修理を依頼しましょう。
異音を放置すると起こるリスク

「たまに鳴るだけだから」「まだ冷暖房は使えるから」と異音を放置してしまうと、さまざまなリスクが生じる可能性があります。キュルキュル音は、エアコンが発している重要なSOSサインです。無視することで、状況は確実に悪化していきます。
リスク1:エアコンの効率低下と電気代の上昇
異音が出ている状態は、部品がスムーズに動かず、モーターなどに余計な負荷がかかっている状態です。これは、無駄なエネルギーを消費していることを意味します。結果として、部屋を冷やしたり暖めたりするための効率が落ち、設定温度に到達するまでにより多くの電力が必要になるため、電気代が上昇する原因になります。
リスク2:エアコンの寿命を縮める
部品の摩擦や負荷がかかった状態での運転を続けることは、エアコン全体にダメージを蓄積させ、寿命を著しく縮めることにつながります。本来であれば10年以上使えたはずのエアコンが、数年で故障してしまうことも考えられます。
リスク3:より高額な修理費用につながる
初期段階の潤滑油不足であれば、比較的安価な修理で済むかもしれません。しかし、それを放置して運転を続けた結果、モーターが焼き付いたり、コンプレッサーのような基幹部品が故障したりすると、修理費用は何万円にも跳ね上がります。場合によっては、修理するよりも新品に買い替えた方が安くなるほどの高額な修理になることもあります。
「キュルキュル」という小さなサインを見逃さず、早期に対処することが、結果的に出費を抑えることに繋がるのです。
賃貸物件での異音トラブルの解決策
お住まいが賃貸のアパートやマンションの場合、エアコンの異音への対応は、分譲の物件とは少し異なります。エアコンは部屋の設備として大家さん(貸主)が設置したものであるため、トラブルが発生した際の対応には注意が必要です。
最も重要なことは、異変に気づいたら、自分で修理業者を手配する前に、必ず大家さんや管理会社に連絡することです。
なぜ先に連絡が必要なのか?
管理会社や大家さんへの連絡ポイント
連絡する際は、以下の情報を整理して伝えるとスムーズです。
- いつから異音がするようになったか
- どのような音がするか(「キュルキュル」など具体的に)
- どのタイミングで音がするか(冷房時、暖房時など)
- エアコンのメーカー名と型番(本体側面や下面のシールに記載)
貸主側で提携している修理業者がいる場合も多いため、まずは指示を仰ぎましょう。故意や過失(掃除を怠ったことによる故障など)でない限り、入居者が費用を負担する必要はありませんので、安心して相談してください。
ダイキンエアコンの異音も原因は同じ?
「うちのエアコンはダイキンエアコンなんだけど、何か特別な原因があるの?」と心配される方もいるかもしれません。ダイキンは空調専門メーカーとして高いシェアを誇っており、利用者も多いです。
結論から言うと、ダイキン製のエアコンであっても、室外機からキュルキュル音が発生する原因は、これまで説明してきた内容と基本的に同じです。ファンモーターの不具合やベルトの劣化、ホコリの付着などが主な原因と考えられます。
メーカーによって設計の細かな違いはありますが、室外機の基本的な構造や動作原理は共通しています。そのため、「ダイキンだから」という特別な原因や、特殊な対処法があるわけではありません。
公式サイトの情報を確認するのも有効
もしお使いのエアコンでエラー表示なども出ている場合は、公式サイトで情報を確認するのも一つの手です。ダイキンの公式サイトには、よくある質問(FAQ)やエラーコードの診断ページが用意されており、解決のヒントが見つかるかもしれません。
(参照:ダイキン工業株式会社「目的別サポート」)
ただし、前述の通り、キュルキュルという異音は物理的な部品の摩耗や劣化が原因であることがほとんどです。エラーコードが表示されていない場合でも、音が気になるようであれば、メーカーのサポートセンターや専門の修理業者に点検を依頼することをおすすめします。
まとめ:エアコン室外機のキュルキュルという異音は業者へ相談しよう
- キュルキュル音は部品の摩擦や劣化が主な原因
- ファンモーターの潤滑油不足の可能性が高い
- ファンベルトが経年劣化していることもある
- ファンやフィルターのホコリ詰まりも一因
- 重症な場合はコンプレッサー故障の可能性も
- 異音がしたらまず電源プラグを抜いて安全確保
- 安全の確保が何よりも最優先
- 自分でできるのは室外機周辺の簡単な清掃まで
- 安易な分解や注油はさらなる故障の原因になる
- 異音を放置すると電気代が高くなることがある
- 放置はエアコン本体の寿命を縮めるリスクも
- 賃貸物件の場合はまず管理会社や大家さんに連絡
- メーカーを問わず異音の原因は共通していることが多い
- 簡単な清掃をしても音が消えない場合は専門業者へ
- 早めに相談することが高額な修理を防ぐ鍵
コメント